【ドラマ】カムカムエブリバディと共に終わったもの
朝ドラ、「カムカムエブリバディ」が昨日最終話を迎えた。
朝の視聴がすっかり生活に組み込まれていた私にとって、寂しい気持ちを覚えざるを得ない終わりである。
しかし、一般的な視聴者とは少しドラマの楽しみ方が違っていたような気がする。
というのも、私は最初からこのドラマを熱心に見ていたわけではないからだ。
私が見始めたのは、大月家が京都へ越してきたあたりからである。
なぜならば、京都編からは松重豊演じる「伴虚無蔵」が登場すると聞いていたからだ。
松重豊のにわかファンである私は、孤独のグルメで彼を認知して以来、孤独のグルメのドラマシリーズは全て見て、おまけに彼のラジオ番組まで聴いている(くせに「地獄の警備員」は怖くてなかなか見られていない)なんちゃってファンなのである。
そんなこんなで、それまでは欠片も興味がなかった朝ドラを急遽見始めたのである。
見始めから伴虚無蔵が出ていたわけではなかったので、「早く松重豊を出せ!」と憤っていたのだが、ふと冷静になって気が付いた点があった。
「クレジットに名前がなければ出てこないから、憤っても仕方ないのでは?」と。
なので、OPの俳優名をしっかり全員分確認して、「松重豊」の文字が流れるかを確認するのが日課になった。(大体、時代考証の谷さんとかの次に出るのよね)
「松重豊」の名前があれば「来たー------!!!!!!!!」と歓声を上げたし、名前がなければ「んだよ、松重豊出せよ!」と悪態をついたりもした。
そしていつしか、これを虚無蔵チャレンジと称して楽しむようになっていったのである。名前有でチャレンジ成功。名前無は「ノー虚無」である。
虚無蔵チャレンジを楽しむうちに、徐々にドラマにも慣れていった。
最初の2週間くらいは主人公の名前すらうろ覚えで、「伴虚無蔵」一本槍で見ていたのだが、しばらくするとドラマ全体を楽しんでいる自分がいたのである。
そして、虚無蔵が出れば「キョム~!」と黄色い悲鳴を上げながら、朝の時間帯に最もふさわしくないデシベルを周囲にまき散らしていた。
物語の終盤には、「やっぱりひなたの傍にはガラシじゃなくて虚無!虚無しかいねぇんだよな!!!!!」という陰謀論まがいの言説も飛び出すなど、ドラマも十分に楽しめた。
そんな「キョムキョムエブリバディ」が、ついに終わってしまった。
私の虚無蔵チャレンジも声援も、もう虚無蔵に届くことはないのである。
ちなみに、最終回の重大ネタバレをすると、最終回はノー虚無であった。
「そんな馬鹿な…」と思ったが、最終回の一個前の話には虚無蔵が出ていて、主人公の背中を押す(彼にしては長尺な)台詞があったので、あれが別れの言葉だったのであろう。もちろん「んだよ、松重豊出せよ!」と悪態をついたのは言うまでもない。
新生活の季節になり、ひときわ季節の移ろいや彩りを感じるようになった。
そんななか、私は愛する一人の侍に別れを告げなくてはならない。人生とはかくも無常なものなのか。
だが、盛者必衰、栄枯盛衰。これこそ侍らしいではないか。
虚無さん、あんたこそ最高の侍だったよ。ありがとう、また会おう…。
ちなみに、以下の新ドラマに松重豊が出るらしい。新たな虚無蔵チャレンジは続く…。
なお、虚無…ではなく松重豊のお相手役、井川遥の役名の苗字は「日向(ひなた)」らしい…やっぱりひなたには虚無しかいないじゃないか!(歓喜