【音楽】BAYCAMP2018に行ってきました
一週間前のちょうど今日。
私は、東扇島という人工島を目指してえっちらおっちら移動をしていた。
それは、人生初のBAYCAMPに参加するために。
例年であればサマソニへと向かっていたのだが、今年のラインナップが心に響かず。
DAOKOはちょっと見たかったけれど、彼女のためだけに2万円近く払ってしまうと、今後の金銭感覚が崩壊するのではないかという不安感から、今年は神奈川に落ち着いた。
事前に、いつもフェスにお供してくれる親しい友人と出演アーティストのおすすめソングを交換し合うという微笑ましい儀式を済ませ、ウキのルンで堂々の会場入り。
身分証提示列へと爆音で響くFIELD GARAGEの音楽が、私だけでなく他者の心までを臨戦態勢にさせてくれたことは想像に難くない。ゲートをくぐり、いざ開幕である。
開幕アクトは、フレデリック。
というよりも、2人とも「オドループ聴ければいいっす」というテキトーぶりを発揮したが故の傾聴であった。
やはり、定番どころということで特に若者が大挙していた感じであった。そして、私たちの到着とほぼ同時にあのお馴染みのイントロが。アガったことは言うまでもない。
オドループを堪能したところで、さっさと帰った私たちは暇になってしまった。
次は16時台のNakamura Emi目当てだったので、1時間くらい原っぱでのんびりとして時間を潰す。
やっとこさ時間になったところで移動。第2アクトに備える。
始まった当初、友人は正直あまり期待してなかったというが、彼女のわかりやすくガツンと来る歌詞とパワフルな歌唱に、想像以上に驚きを覚えたという。格好良いもんね。
サマソニ以来だった彼女のライブであったが、相も変わらずの最高っぷり。盛り上げるところは盛り上げつつ、終始ちゃんと聴かせてくれる歌声がたまらない。
個人的にNakamura Emiは、性別や細かいところは違えど竹原ピストルタイプだと感じているのだが、途中のMCで彼のライブに感銘を受けたと言っていて、「ほら!共通点あったでしょ!!」と勝手にめちゃ盛り上がってしまった。また聴きたいものである。
その後は17時からWiennersを。
サウンドチェックからブッ飛ばしてきて予感はしていたが、始まってみると案の定ダイブにモッシュにお祭り騒ぎ。
私はかろうじて友人に勧めてもらっていたので、恋のバングラビートが来ると爆盛り上がり。ダイブ者が前列に押し出されるのをチョン・テセ似のエース格お兄さんが受け止める映像を目の当たりにしながら、大いに騒いだ。
友人曰く、「初見殺し」というパフォーマンスであったが、私は左サイドバックを堅守していたため非常に平和でエキサイティングに楽しめた。これから来てほしいバンドの一つだ。
18時台からはレイザーラモンRGのあるあるライブ。
個人的には奴さんとの「目を閉じておいでよ」が見たくはあったが、そこは流石のRGで、紅にのせて川崎あるあるを熱唱すると大盛り上がり。
なんというか、「RGのあるある生で聴いた」という体験だけで非常に貴重であったと思うのだが、絶妙に歌が上手いのも最高ポイントの一つであった。
「20時から物販に来てくれ!全員にあるある歌ってやるよ!」という啖呵を切ると、会場のボルテージは異様なほどに盛り上がった。最高じゃんかよ。
この時点で19時くらいだったが、二人とも23時の竹原ピストル待機だったために、めちゃめちゃ暇に。
バンアパを聴きながら喋りつつご飯にするという、キング・オブ・贅沢な時間を過ごしつつ、23時までなんとか潰れていざ本格始動。
竹原ピストルは最前で見られたのだが、小気味よい人柄の良さをうかがわせるMCと全力投球の歌唱。そして彼の全力でぶつかってくる姿勢に、聴衆も身構えて聞き入るという、ある種ボクシング的な最高のライブ。
サウンドチェックの「浅草キッド」から只者ではない予感がビンビンであったが、まさにその通り。あっという間に全てを聴き終えると、あったかいみそ汁を飲み干した後のように、心がじんわりとほの温かくなっていた。
そんなこんなで日付変更線も近づく23時45分。
少し仮眠を取ろうと芝生に寝転んだとき、今宵のラスボス泉谷しげるが登場した。
春夏秋冬しか知らなかったが、めちゃめちゃに格好良い。
伊達に長くはやっていない。MCで全方位に悪態をつきながらギターを掻き鳴らす。30回の腕立てを披露したと思えば、下に降り立ち水を客にぶっかけながら写真撮影タイムを開始するという豪快っぷり。
正直、当初はターゲット層が分からなかったのだが、このパフォーマンスには脱帽である。こんなに自由闊達なアーティストはこの日いなかったのではなかろうか。
後を受けたCreepy Nutsも泉谷しげるに敬意を示していた。インパクトあったもんね。
フリースタイルラップの旗手として最前線で戦い続ける、彼らのパフォーマンスは充実の一時で、短歌をやり始めた私としても非常に興味深かった。
特に、お馴染み「聖徳太子ラップ」は流石の一言。個人的には時事ネタを期待したが、聴衆から吉澤ひとみの名が飛ぶことはなかった・・・・。
そして、やはり若者の反応がすこぶる良い。それだけ、フリースタイルダンジョンがこの世に与えた衝撃は大きかったんだなぁと改めて感じるに至った。良いアクトだった。
その後、夜の本気ダンスをがっつり聴いた後、友人のお気に入りクリトリック・リスを待つついでにimaiを聴く。
「フェスでこの打ち込みの感じ、どう盛り上がるんだろう」とは思ったが、サルゲッチュのBGMが好きな私としては、非常に聴きごたえのあるドラムンベースであった。
ゲーム音楽っぽさも感じさせる可愛さも併せ持ちつつ、電子音楽の疾走感を体現していて実に良い楽曲群であったと思う。
そして、お待ちかねクリトリック・リス登場。噂は聞いていたが見るのは初めてだ。
なんだろう、この感じは・・・?と思い、出した答えがザコシであった。打ち込みの音が何とも言えない哀愁、あるいはお茶目さを醸し出しており、股間に仕込んだ装置と相まって唯一無二の空間を生み出していた。ちゃんとハゲって叫んできました。
「クリトリック・リスに全部を使う必要はない」という友人の名言が飛び出し、Awesome City Clubへと急ぐ。
最後の最後になんとか追いつき、「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」は聴けた。これが聴きたかったのだ。
事前に友人に勧められMVをめちゃめちゃ見た為、ダンスを覚えてしまったこの哀れな私は、ライブ中ずっとサビの部分でそのダンスを踊っていましたとさ。楽しかったので良し。
そして、今回のお目当て、サニーデイ・サービスが登場する。時間は4時を回って15分。
サニーデイになると、今までいた多くの若者たちが別会場へ流れていく。DJダイノジ目あてだろうとは友人の弁。
そうして、本当に音楽が好きな人々と一緒に最高の夜明けを迎えるべく、彼らの演奏を聴いた。
あの声が、楽曲が、目の前にあるというだけで身体の疲れはすっ飛んでいく。
友人は聴き入っている風に寝ている。それもまた最高の贅沢であろうと感じる。
静の中に動があり、美麗な歌詞が紡がれていく様は最高であり、そしてとうとう夜明けを迎える。最高の朝日がそこにはあった。
アンコール。もちろん、「青春狂走曲」だった。今までの思いが溢れ、自然に曽我部さんと一緒に歌いだす。それは、私たちの夜明けであり、時間であった。
終わった。
あとは帰るだけだが、とっても楽しい時間だった。大正解だった。
そんな私たちを、日曜日の朝日が静かに見送る。遠方では「黒柳さぁ~ん!!!!!」が聞こえる。最高だった。そこにはもう、最高さとその抜け殻とが確かにあった。
以上である。
この経験をしてしまったら、きっと来年も行くのだろうなとは思う。
サマソニとの平行になったらなったで、それも幸せの形かもしれない。
友人よ、そしてすべてのBAYCAMP出演者の皆さん、ありがとう。