【お酒】台湾行っ(た気分になっ)てきました
寒い。
寒波の襲来でこうも連日寒いと、どことなく喪失感が生じてくるのは気のせいだろうか。
すると、「寒さに何か奪われてるんじゃあないか」なんてポケットを漁るような感覚で、「旅に出る時間」がすっかり無くなっていることに気が付く。
正確には、毎年連休にはどこかしらに出かけるという幸せな生活を送ってはいるのだが、時は師走。寒さとのタッグに人々は急ぎ、焦り、そして一様にあわただしく新年へと駆け去っていく。
私は、寒風吹きすさぶ時間の急坂にてひと段落したいと思った。こうなれば、旅に出るしかないだろう。
そんな折、「12月中旬に台湾ウイスキーが入る」と知らせてくれたバーがあったことを思い出した。土曜日は20時過ぎにもなって、私はいそいそと支度を済ませ、台湾ウイスキーが飲めるというバーの紹介席を目指したのであった。
というわけで今回は、その日飲んだお酒を使った回顧録を好き勝手展開しようと思う。
1杯目~シンガポール・スリング~
お目当ては、台湾ウイスキーの「カヴァラン」であったが、切り札取っておくタイプの私は、迂回してシンガポールからスタートすることに。
ジンベースのさっぱり甘めのカクテルで、今回は嬉しいことに追熟パイナップルの切り身付き。
ベースとなるはビーフィーター。以前の記事での敗戦の立役者であるマティーニも、確かビーフィーターが使われていたが、今回は苦にすることもなくスルスルといけた。リベンジ成功である。
2杯目~さつま芋のデザートカクテル
一風変わったお芋のカクテル。カルーアベースで、スイートポテトを思わすような口触りの良さと甘さとが引き立ってゴクゴク飲める。香り付けで、焙煎珈琲豆をそっと添えてくれた心配りが嬉しい。
シンガポール、薩摩(鹿児島)とじっくりと足場を固め、次はいざ台湾へ。
3杯目、4杯目~カヴァラン・ストレート、ロック
温暖な南国生産ということもあり、熟れたフルーツの要素も楽しめる早期大成型の一杯。
まずは加水をせずにストレートで。口当たりは優しく、後味に仄かな甘みが残る。途中に1,2滴水を垂らしてグラスを回すことで、香りの受け口が更に広がって味わいも変化したように感じる。ロックでは、味が丸くなったのか飲みやすいが大人しくなってしまった印象。
私が好んで飲む、アイラ島のピーティー集団とは一線を画したような、温暖な気候でよく成長した元気で温和なイメージが味や香りから楽しめた。
ぶっちゃけ、味とか香りのイメージなんていうのは適当で、バーテンダーさんが上手に連想させてくれているようにも思えるのだが、今回の場合は「ようこそ日本へ 熱烈歓迎」的な雰囲気が楽しみたかったので、そういう意味では大成功であった。美味しかった。
5杯目~ブッカーズ・ロック
隣の常連さんが頼まれていた一杯。私のカヴァラン・ロックに触発されて水割りをロックに変えてくださった。それに私も応えるかのように注文した。
バーボンウイスキーということで、言わずと知れた名産地・ケンタッキー生まれの舶来品。アルコール度数が40台よりも高めとのことだったが、それを感じさせない飲みやすさで、飲み終わりにかすかに舌が痺れる感じが心地よい。
アジア圏から一気にアメリカに飛ぶ辺り、さながら相対性理論の「気になるあの娘」の歌詞である。
6杯目~キャンベルタウン・ホット
締めの一杯は、ピート香がたまらないキャンベルタウンを。ホットで飲んだことはなかったが、良い感じにお湯でまろやかになっておりナイトキャップと言うにふさわしい仕上がりとなっていた。これにて、お酒で巡る世界旅行も一先ず終焉を迎えたのであった。
以上で回顧録は終わりである。
世界でそれぞれ特色を持ったお酒が造られ、それらが一堂に会する様は壮観かつ賑やかで楽しい。
お酒でなんだか人とのふれあいでなんだか分からないまま、暖かな気持ちで帰る家路に、私は師走の喧騒を忘れることが出来たのであった。
お終いに、そんな帰路を表すかのような脳内ぐるぐる賑やかスウィングでお別れを。