【ゲーム】サルゲッチュのサルコメントに気付かされる人生
禅の精神は昨今、「シンプルであること」と人々に捉えられているように思う。
それは、スティーブ・ジョブスや無印良品が禅より影響を受け、そのシンプルさで我々の生活に恩恵をもたらしているからではないだろうか。
禅から波及した「シンプルイズベスト」の考え方は、今や我々の身近な存在として日常に溶け込んでいると言って良いだろう。そして、シンプルであることはむしろ豊かなことであるというように、人々は肯定的にその考え方を受け入れているようにも感じるのだ。
~サルゲッチュはご存知?~
禅とか全然前半関係ない(頭韻)けれど、主人公がサルを捕まえていく様を描いた稀代の名作、「サルゲッチュ」というゲームがある。
それで、作中で捕まえていくサルは何匹もいるのだが、そのサル1匹1匹にサル自身のコメントが付けられている。
私はそのコメント一つ一つがとても好きだ。なぜなら、そのコメント一つでサルの個性が強く印象に残るし、意外にシャレが効いていたりするからだ。
短い文の中に、私達がハッとさせられるものが多くある。今回は初代サルゲッチュより、そんなサルコメントを抜粋し引用したうえで、好き勝手にあることないこと穿っていきます。
なお、各サルの名前やサルコメントなどの著作権は「株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント」に帰属します。
しょうらいにバクゼンとしたふあんがある
-ガーネット(すいちゅうケイブ)
そう、サルでも将来は不安なのである。 我々人間だけが、地球や国家や地域、あるいは身の上のことに不安を感じているのではなく、サルを含めた生き物全てが、何らかの不安を抱えながら日々を生きているということなのだ。それは生物学的には妄想なのかもしれないけれど、「人間だけが特別なのではない」という警句のように思えてならない。
「おかあさん、れんらくください」
-マル(ツラーラどうくつ)
彼のいるツラーラどうくつとは、察しの通りとても寒い。彼は、寒さの中で母親に呼びかけていることになる。「家族の温かさというものを、人は環境が変わると痛感する」という、普段は忘れてしまいがちな家族の大切さを、サルを通じて私達に伝えているのではないだろうか。
ひきだしはおおいほう
-モスキート(サルおんせん)
「引き出しが多い」 という一言だけで、なぜかとても魅力的に感じる。「良い大人というものは、多くの引き出しを備えていて、必要な時にだけサッと引いて必要な振る舞いをするものなのだ」ということを、ゲームを遊ぶ子供達や若者に伝えたかったのではないかと思わせる名文句である。
そのめはせかいをむいている
-ジョンモンジロウ(サルおんせん)
サルが世界に目を向ける時代になったということなのだろうか?言わずもがな、彼のモデルはジョン万次郎。コメント通りのグローバルな人材として活躍した。
人々はどうしても、眼前のことや身辺のことに気を取られ、大局を見失いがちである。「柔軟に、そして広い視野で物事を捉えるべき」という考え方を、ジョンモンジロウにモデル付けすることで我々に印象付ける、素晴らしい一言なのではないかと思う。このコメント、超カッコ良い。
てぐせはわるいがきまえがいい
-ゴエモン(わびさびテンプル)
こういう人物は、ミスをしてもどこか憎めなく、周囲から愛されている場合が多いと思う。気前の良さが、自らの手癖の悪さをカバーするのだ。このような生き方こそが「粋」であり、器の大きさを感じさせる。 「きまえはよいがてぐせがわるい」という文章配置でないところも愛され度を表すポイント。
「人は一人で生きるのではなく、周囲との関係性を築くことが自分のためにもなる」ということを、天下の大泥棒「石川五右衛門」を思わせる名前で訴えかけていると思う。
まだまだ挙げたいけれど、長くなりそうなのでこれにていったん終局。
短文が、人々の多角的な捉え方を刺激する良い対象であると改めて思い知らされました。終始「何言ってんだ?」的論調だったし。そしてそれは、文の持つ「シンプルさ」ゆえの特別な力なのかもしれない。
サルは言葉じりも捕まえられるんですね!