自己表現ぶろぐ

会社では冴えない社会人が、ネット弁慶になるためのブログ。好きなものや興味のあるものの感想を、ちまちま書きます。

【映画】「アーティスト」の先を行った「サルゲッチュ」

※ネタバレ有りのため、ご注意ください。

 

2011年のフランス映画、「アーティスト」。

主人公はサイレント映画界のスター俳優。しかし、人々は登場人物の肉声で彩られるトーキー映画に傾倒していき、彼は時代の流れに対応できず挫折してしまう。

しかし、駆け出し時代に端役として共演していたヒロインは、彼と共にもう一度映画での再起を図る。

 

【映画の感想】

この映画の特徴は、何といっても作品自体が無声映画のスタイルを採っていること。

音楽はフツーに流れるけれど、主人公が活躍した無声映画の雰囲気が存分に味わえて良い。途中、無声映画の中で無声映画が流れるという、バクマンのび太君の夢みたいな感じになってる箇所もあるけど気にしない。

それと、人間顔負けの演技で劇中大活躍をする、犬のアギーが素晴ら可愛い。死んだふりとか跳躍とかは朝飯前で、挙句の果てには「飼い主が途中で倒れたら犬はどうする?」というトリビアの種に対して100点満点の回答をするような演技をマジでやってのけます。ご覧ください、満開です。

 

さてさて、そんな「アーティスト」ですが、最後の最後、主人公がヒロインと映画の撮影をするシーンが一番の盛り上がり。

それまで白黒だった画面は、一気にカラーとなり、主人公とヒロインがタップダンスで繰り出す足音がスピード感のある音楽に乗って、これでもかと押し寄せてくる。流麗なダンスが繰り広げられた後には、制作会社のお偉いさんが「Perfect!」と絶賛。この瞬間に無声映画が文字通り音を立てて崩れ去り、新しい時代に主人公がフィットしたことを暗示し、希望と共に物語の幕を下ろします。

 

場面の転換で、一気にボルテージを上げる手法って、ズルいと分かってはいてもついついノッちゃう。主人公達が踊ってるの見て、めっちゃタップダンスやりたくなりましたもの。

ただ、その表現技法には既視感があったんですよね。で、すぐに思いついたのがサルゲッチュ」のステージでした・・・・。

 

サルゲッチュ

 

物語も後編、ボスのアジトであるお城に主人公のカケル君が乗り込むもうとするんですが、最初はBGMが無いんです。静かななか、カケル君の足音だけが響くような状態。

で、お城に入り進んでいくと、一匹のサルがカケル君を見つけます。

そのサルが侵入者発見か何かのボタンを押すと、要塞としての機構が動き出し、決戦用のBGMが流れ出すという演出。


サルゲッチュPS BGM スペクターランド後半 「高音質」

凝っているシーンで印象に残っていますし、BGMもハイクオリティ。気持ちが高まるのに1秒もかかりません。そして何よりも、「アーティスト」の演出と同じように爆発力があり、一気に見る者をその世界に集中させ、「これまでとは何かが違うぞ!」という気付きを与える役割を果たしているのだと思います。

名作と謳われた「アーティスト」と似た(と個人的に思ってるだけな)ような演出をブッ込んでくる「サルゲッチュ」は間違いなく名作であり、そのニクい演出は、見る者の心を一瞬で掴んでしまうんだな、ってことが言えるのではないでしょうか。犬猿の仲、最強。